【海外PRの手法】アメリカなど海外でのPRを成功させる3つのポイント
PR・広報の仕事は、単にメディアへプレスリリースを配信して終わるような単純な業務ではありません。現地のメディア特性を理解したプランを練り、それを誠実かつ確実に「実行」していく現場の力(戦術)が求められます。特に、日本と異なりPR業界の歴史が長いアメリカでは、あらゆる企業がビジネス成功の鍵としてPR活動を重要視しており、非常に高度なノウハウが蓄積されています。日本のPRは海外のトレンドが数年遅れて定着することも多いため、現在アメリカのPR業界で主流となっている手法を先取りすることは、日本のPR担当者にとって大きなアドバンテージとなります。
本記事では、こうしたアメリカなど海外のPR事情を背景に、自社の情報を取り上げてもらうための具体的なアプローチ手法と、海外PRを成功に導く3つのポイントを解説します。
海外のPR・メディア事情
海外PRを成功させるためには、まず現地のメディア環境やジャーナリストの文化を理解することが大前提となります。
例えばアメリカの場合、日本のような記者クラブへの投げ込みや関係性のあるメディアへの一斉配信という概念は基本的には機能しません。記者個人へ直接ニュースの価値を提案するメディアピッチが主流です。
また、アメリカのジャーナリストは非常に多忙かつ実力主義であり、企業との関係性よりも客観的なファクトと読者にとってのニュースバリューをシビアに評価します。知名度の高低にかかわらず、「そのニュースに、自社の読者が喜ぶだけの価値があるか」という一点のみで掲載が判断されるのです。
このように日本の常識が通用しない厳しいメディア事情を前提とした上で、具体的なアプローチを組み立てていく必要があります。
アメリカ・海外でのPRを成功させる3つのポイント
説明した通り、日本とは異なるシビアな海外メディア環境において、自社のニュースを取り上げてもらうためには、従来のやり方を見直し、戦術をアップデートする必要があります。ここでは、現在のメディア事情やPR業界のトレンドを踏まえ、実務ご担当者様が実行すべき「3つの実践的なアプローチ手法」を解説します。
透明性の高い情報発信
広告と異なり、PRにとって誠実かつ倫理的なコミュニケーションが重要となります。つまり、企業の責任感、倫理感、透明性が高ければ高いほど、忠実で誠実なPR活動を行うことができると言えます。信頼が得られない、不透明な会社のPR活動は結果としてプロモーション自体が不誠実なものとなり、成功しません。
PRプロフェッショナルは企業のPRにおいて最大限の結果を残すため、誠実で、倫理的なPR戦略の開発が求められます。
危機管理においては、ただ単に謝罪するだけではより悪い状況を作ってしまう可能性があります。謝罪に加え、社内でどのような前向きな取り組みを行うのか、明確な「ネクストステップ」をメディア・お客様に見せることが必要です。
自社製品がすばらしいからといって、ただすばらしい製品としてプロモートするのも不十分です。製品のメリットを、多くの場合は口コミを通じて、最近では強力で誠実なインフルエンサーリレーションズを利用して、「お客様にリアルな良さ」を見せる必要があります。
アメリカのPR業界では、日本よりも「フェイク・嘘」に敏感です。嘘が入り込む余地はありません。たったひとつの嘘で、ブランドイメージが完全に損なわれることを企業側も理解しています。今後は世界的によりフェイク・嘘のニュースはよりシビアにみられるようになるでしょう。
信頼を重視したマイクロインフルエンサーの活用
多数のフォロワーを持つインフルエンサーは、ソーシャルメディアの発展により多くのPR戦略にとって最重要事項のひとつになっています。
しかし現在ソーシャルメディアプラットフォームに広告やスポンサードの投稿が増えるとともに、PR戦略の1施策として起用されるインフルエンサーが信頼を得ることは難しくなってきます。フォロワー数が多ければ多いほど、そのフォロワーが「実在するのか」などが不透明で、信頼性も低くなります。
そこで、現在マイクロインフルエンサーの起用が増えてきています。フォロワー数はそれほど多くなくとも、より実体のあるフォロワーを抱えたインフルエンサーを活用することで、ニッチなオーディエンスに確実にリーチすることができます。
マイクロインフルエンサーはリーチ数という観点では強みは少ないものの、誠実さと眼識の点では信頼性があり、起用する価値があるといえます。よりよいPRとインフルエンサー施策のためには、インフルエンサーの経歴とオーディエンスをしっかりと調査することが重要です。バニティメトリクス(虚栄の指標)は時間が経てばたつほど倫理的で正直、透明性のあるインフルエンサーの起用が今後は主流になるでしょう。
マーケティング施策との連動
PRとマーケティングは切っても切り離せない関係と言えます。
PR戦略はメッセージ・ストーリーの構築から始まり、そのメッセージを伝える際、多くの場合がマーケティング戦略を同時に実行することでより効果的となります。強力で誠実なメッセージを、緻密に練られたソーシャルメディアキャンペーンやコンテンツ制作、インフォグラフィック等と組み合わせることで、より効果的なメッセージをターゲットに届けることが可能になります。
海外PRにおける現地のタブー・文化への配慮
海外のメディアへ情報発信する際、現地の文化や商習慣、メディアの価値観を理解せずに日本の感覚のままPRを行うのは、避けるべきタブーです。
例えば、国内向けのプレスリリース原稿をAI等でただ直訳して配信する翻訳のタブーや、現地の社会課題を無視して自社製品の宣伝ばかりを押し出す広告化のタブーなどは、
海外のジャーナリストから即座に敬遠される典型的な失敗例です。
さらに、国境を越える情報発信では、表現のニュアンス一つが意図せず現地の宗教や歴史的背景に対するタブーに触れ、取り返しのつかないブランド毀損に繋がるリスクも
潜んでいます。海外PRを成功させるには、こうした現地の特性を熟知したネイティブ視点でのローカライズが欠かせません。
【関連コラム】
海外PRで失敗しないために知っておきたいタブーとは
グローバル全体での広報戦略・体制構築
ここまでは主に、現場の実務担当者が押さえるべき海外メディアへの具体的なアプローチ手法について解説してきました。しかし、企業の海外展開が本格化し、複数の国や地域へ同時にアプローチするフェーズに入ると、単発の戦術(配信手法)だけでは必ず限界が訪れます。グローバル市場で長期的にブランドを育成し、競合優位性を確立するためには、実務のさらに上流にあたる全体戦略の策定と広報体制の構築という新たな壁を乗り越える必要があります。
グローバルPRを成功に導くためには、短期的な露出を追うだけでなく、3〜5年先を見据えた長期的な戦略と統合的なコミュニケーション体制が不可欠です。
海外展開が本格化し、複数の国へアプローチするようになると、日本本社と海外の現地法人、あるいは現地の提携PRエージェンシーをどのように連携・管理していくかというガバナンスの課題が必ず発生します。よくある失敗例として、各国の現地側にPRの実務を丸投げしてしまった結果、国ごとに発信するメッセージやブランドイメージがバラバラになってしまうケースが挙げられます。
世界共通のブランド価値を毀損せず、かつ各国の文化に適応した柔軟なPRを実行するためには、本社主導での一貫したコーポレートコミュニケーション戦略が求められます。同時に、現地のPR会社を適切に選定・コントロールするための基準作りや、それを担う社内体制の構築も、企業が乗り越えるべき重要なステップとなります。
【関連コラム】
海外PR戦略の立て方と実践方法|グローバル広報で成功する企業の共通点とは
最後に
アメリカのPR業界は20世紀の初頭にはじまりから現代に至るまで重要視されています。
もちろん、その内容・施策には大きな変化が見られますが、現在でも最も重要視されているのは、企業・団体とコミュニティとの間のコミュニケーションです。
良いPRはまず何よりも正直さと誠実さ・透明性をもって、コミュニティとの間に強い関係を構築することを最大の焦点にしなければなりません。昨今ではPRだけでは不十分なことも多く、PR・マーケティングを組み合わせた総合的なアプローチが要になります。
良いPRは真実からスタートして、この真実さえあれば、効果的なPR戦略のために最も必要な材料が揃ったといえます。
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