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広告はブランド態度をどう変える?媒体別の効き方とPR・マーケティング活用を解説!

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本記事で解説する論文

今回取り上げるのは、Rex Yuxing Du、Mingyu Joo、Kenneth C. Wilburによる2018年の論文「Advertising and Brand Attitudes: Evidence from 575 Brands over Five Years」です。公開元はarXivで、URLは https://arxiv.org/abs/1810.07783 です。研究分野は広告効果測定、ブランド態度、メディアミックス分析です。

この論文は、広告が売上にどう効くかではなく、消費者がそのブランドをどう感じるかに注目し、しかも575ブランドという大規模データで媒体別に差を見た点にあります。PR、ブランド戦略、広告運用をまたいで「何を指標に効いたと判断するか」を考えたい実務者に向いた研究です。

用語解説

ブランド態度
消費者がそのブランドに対して持つ評価や印象のことです。この論文では売上の手前にある中間指標として扱われ、広告の長期的な効き方を理解する軸になります。
ブランドトラッキング調査
同じ指標を継続的に測る定点調査です。この研究では毎週の調査データを使い、広告出稿の増減とブランド評価の変化を結びつけています。単発調査ではなく時系列で見ることが重要です。
メディアミックス
テレビや新聞などの伝統的媒体、地域媒体、デジタル媒体をどう組み合わせるかという考え方です。この論文は、媒体ごとに上がりやすい態度指標が違う可能性を検証しています。
固定効果
ブランド固有の強さや時期ごとの外部要因を統計的に取り除く考え方です。単に有名ブランドほど広告費も評価も高い、という見かけ上の相関を減らすために重要でした。

研究背景と課題

広告の効果測定というと、クリック、流入、CVのような短期指標に意識が向きがちです。一方でPRやブランディングでは、すぐに売上へ出ないが、認識や印象を少しずつ動かす活動が多くあります。そこをどう定量的に捉えるかは、実務でも長く難題でした。

著者らは、CMO調査でも長期効果を証明できている企業が多くない点を踏まえ、売上の代わりにブランド態度を見れば、広告の意味をより現実的に評価できるのではないかと考えました。特に、全国向けの伝統的広告、地域向け広告、デジタル広告で役割が同じとは限らないのに、そこを横並びで比較した研究は多くありませんでした。

研究の内容

研究方法

研究では、2008年から2012年にかけての575の成熟ブランドを対象に、YouGovのブランド調査データとKantarの広告費データを結合しています。観測期間は252週、ブランド態度調査は約1000万件、広告費は総額2640億ドル規模です。

ブランド態度として見たのは、知覚品質知覚価値最近の満足の3つです。そして広告を、全国向け伝統的媒体、地域向け伝統的媒体、デジタル媒体に分け、当週だけでなくラグも含めて、どの指標にどう関係するかを分析しました。さらに、ブランドごとの地力や業界全体の季節変動が結果をゆがめないよう、固定効果を入れて推定しています。

結果と考察

結果はかなり実務的です。要点を整理すると次の通りです。

  • 全国向けの伝統的広告は、知覚品質、知覚価値、最近の満足のすべてを押し上げる傾向がありました。
  • 地域向けの伝統的広告は、知覚品質と知覚価値には効きやすい一方、最近の満足には一貫した効果が出にくい結果でした。
  • デジタル広告は、3指標のうち特に知覚価値を押し上げる関係が確認されました。
  • 競合の広告出稿は、自社ブランド態度に対しておおむねマイナスに働きました。

この結果が示すのは、広告は一括りではなく、どの認知や印象を動かしたいかで適した媒体が違うということです。たとえばデジタル広告は価格やお得感、比較しやすさといった価値認識に結びつきやすく、全国向けマス広告は品質感や安心感まで含めて広く効きやすい、と読むことができます。

PR・マーケティング施策へのヒント

実務で活かせるポイント

第一に、施策評価を売上だけで終わらせず、「品質が上がったか」「お得に見えるようになったか」「満足した顧客認識が増えたか」を分けて見ることです。PR施策でも、露出後アンケートや指名検索の文脈分析を使えば、どの態度が動いたかを追いやすくなります。

第二に、媒体の役割分担を明確にすると設計しやすくなります。ブランドの信頼感や格を押し上げたい局面では、広く届く露出やストーリー型コンテンツが向きます。一方で比較検討や価値訴求を強めたい局面では、デジタル広告やSNS上の具体的ベネフィット訴求が相性がよいと考えられます。

第三に、競合出稿も前提にした態度設計が必要です。自社の発信量だけでなく、競合が強く出ている期間は、単なる接触量競争ではなく、何を違いとして記憶させるかまで詰めるほうが有効です。

村上の視点

この研究は米国の大規模ブランドを対象にした分析であり、BtoBのニッチ商材や立ち上げ初期ブランドにそのまま当てはめるのは慎重であるべきですね。また、論文は広告の平均的な関係を見ており、クリエイティブの質やメッセージ内容の差までは直接観測していないようです。

ブランド態度が上がったからといって、必ず短期売上が同じ幅で伸びるとは限りません。実務では、態度指標をKPIに置く場合でも、資料請求、商談化、再購入率などの事業指標と並べて検証するのがいいと思います。

よくある質問

Q. この論文は「態度変容はデジタル広告よりマス広告が強い」と言っているのですか?

A. そこまで単純ではありません。論文が示したのは、媒体ごとに動きやすいブランド態度が違うという点です。デジタル広告は価値認識に、全国向け伝統的広告は品質感や満足感まで含めて広く関係していました。

Q. PR施策にもブランド態度の考え方は使えますか?

A. はい、使えます。特にメディア露出やSNS発信は、すぐのCVよりも「信頼できそう」「良さそう」「選ぶ理由がわかった」といった認識変化に先に表れやすいため、ブランド態度で追う考え方は相性がよいです。

Q. BtoBマーケティングでも参考になりますか?

A. 参考にはなります。ただしBtoBでは購買頻度が低く、意思決定者も複数いるため、最近の満足よりも信頼感、専門性、比較優位の知覚を置き換え指標として設計するほうが実務には合いやすいでしょう。

Q. この研究を現場で試すなら、最初に何を見ればよいですか?

A. まずは施策目的を「認知」「品質感」「価値感」「満足想起」のどれに近いかで分けることです。そのうえで媒体別にKPIを分け、出稿後のサーベイやブランドリフトを見れば、この論文の考え方を実装しやすくなります。

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著者

株式会社カーツメディアワークス
代表取締役

村上 崇

実績

  • 大手グローバルIT企業のマーケティング戦略
  • 国内上場企業の広報部立ち上げ支援
  • 最大手美容外科の広報戦略
    等多数
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