世界規模でファン心理を再燃!国民的アニメ新作映画の海外向けPR戦略とメディア露出成功事例

概要
本事例は、国民的アニメ作品の新作映画を全世界でプロモーションした海外向けPR成功事例である。対象となったアニメは、過去に世界各国でテレビ放映され、高視聴率を記録した実績を持つ。しかし、初放送から長い年月が経過しており、当時の視聴者は中年世代へと成長。作品認知度は高い一方、映画公開に向けて再びファンとしての熱量を高める必要があった。そこで、国別の認知度調査や視聴者プロファイリングを実施し、SNSコミュニティを活用したグローバルPR戦略を展開。特にFacebookを軸に、世界中の既存ファンページを横断的に結びつけ、新たな公式ページを通じてコンテンツ配信と交流を促進した。その結果、数十万人規模のファンコミュニティを形成し、映画公開までにグローバルでのブランド認知とファン心理の盛り上げに成功した。
課題
新作映画の海外展開における最大の課題は、「作品認知度はあるが、熱量が低下している」という点だった。対象のアニメは、かつて世界中で放映され、子供から大人まで幅広く支持されていた。しかし、時は流れ、当時の視聴者は30〜40代となり、日常生活の中でアニメとの接点は減少。新作映画に興味を持たせるには、懐かしさだけでなく、再び作品にのめり込ませる仕掛けが必要だった。
また、各国に存在するファンコミュニティは点在しており、相互交流はほとんどない状態だった。国や言語の壁により、情報が断片的に広まり、グローバル規模の盛り上がりには至らなかった。さらに、海外メディア露出のためには、現地ファンの熱量を可視化し、メディアや配給会社が「話題性あり」と判断できる状況をつくる必要があった。つまり、課題は大きく分けて以下の3つに整理できる。
- 高い認知度を「再ファン化」につなげるコンテンツ設計
- 点在するコミュニティを束ね、国境を越えた交流を促進
- メディア露出を呼び込むための熱量可視化と継続的な話題づくり
ソリューション
まず着手したのは、海外一般消費者に対する詳細な市場リサーチである。国別の現在の認知度調査に加え、当時の視聴者層の年齢・生活環境・オンライン行動をプロファイリング。これにより、「どの国のどの層が最も再ファン化のポテンシャルを持つか」が明らかになった。
次に、既存ファンページの調査を実施。結果、世界各国に公式・非公式のFacebookファンページが存在するものの、それぞれが独立しており、交流や連携は皆無であった。そこで新たにグローバル公式Facebookページを開設し、既存コミュニティに呼びかけて参加を促した。誘導にはFacebook広告を活用し、ターゲット層の関心領域に合わせたクリエイティブを配信。懐かしさを呼び起こす映像、限定ビジュアル、舞台裏エピソードなどを多言語で発信した。
さらに、受動的な情報発信にとどまらず、ファンが能動的に参加できる仕組みを導入。たとえば、思い出エピソード投稿キャンペーン、ファンアートコンテスト、クイズ大会などを開催し、優秀作品は公式ページで紹介した。こうした双方向のやり取りにより、単なる情報受信者だったファンがコンテンツ発信者へと変化。これがコミュニティの活性化と国際的な盛り上がりを後押しした。
結果・成果
キャンペーン開始から短期間で、全世界から数十万人のファンが集結する巨大コミュニティが誕生した。国や言語の垣根を超えた交流が活発化し、投稿数・コメント数・シェア数はいずれも想定を上回った。特にファンアートコンテストでは、応募作品が数千件に達し、一部は海外メディアでも紹介されるなど二次的な露出効果を生んだ。
この熱量の高まりは映画公開時の興行にも直結。公開前にはSNS上で「待望の新作」「子供の頃の夢が戻ってきた」といった声が多数見られ、各国のメディアもファン動向をニュースとして取り上げた。結果、主要市場での初週興行成績は予測を大きく上回り、配給会社からも「ファンベースの力を再確認できた」と高い評価を得た。
また、この事例から得られた学びとして、グローバルPRでは「既存ファンの再活性化」が極めて有効であることが挙げられる。新規ファン獲得以上に、過去のファンに再び火をつける戦略は、短期間でのブランド認知向上と熱量形成に直結する。今後も同様の手法は、映画のみならずゲーム、音楽、観光など幅広い分野で応用可能である。
著者
