導入事例

【大手BIツール 戦略PR】「BIツール=Tableau」の第一想起獲得へ!スタートアップが「IT巨人」に挑戦し、勝ったPR戦略とは

業界を熟知したPR戦略家が「メディア視点」で 刺さる情報発信を設計 PR・広報戦略コンサルティング
サービス概要資料

本事例は、2013年に日本市場へ上陸したBI(ビジネスインテリジェンス)ツールベンダー「タブロー(Tableau)」の、日本市場における初期のマーケティングおよび広報PR支援の取り組みである。

日本に上陸したばかり、またこれから「当たり前」にしたい製品ジャンルや業界の方は参考にしていただきたい。

当時、日本市場では「ビッグデータ」や「データビジュアライゼーション」という概念自体の認知が低く、同社のマーケティングはまさに立ち上げのフェーズにあった。

当社は、2011年頃から独自に研究・展開していた「インフォグラフィック(データビジュアライゼーション)」制作のノウハウを武器としてクライアントに提案。単なるメディア露出に留まらず、データビジュアライゼーションの価値を社会に啓発する連載コンテンツやコンテストキャンペーンなどを両輪で展開した。詳細に関しては下記のとおり。

課題

プロジェクトが開始された2014年当時、クライアントが抱えていた課題は多層的であった。

第一の課題は、市場の黎明期であったことだ。「ビッグデータ」という言葉は聞かれ始めたものの、「データビジュアライゼーション」や「BIツール」がビジネスに何をもたらすのか、その価値は日本市場で広く認知されていなかった。

第二に、クライアント内部の高い目標設定である。当時の日本法人社長は、外資系IT企業の出身であり、PR活動に対して「とにかく日経新聞の本紙一面を取る」といった高い成果目標を掲げていた。しかし、「BIツール」という無形で専門的な商材は、そのままでは一般紙や経済紙のニュースになりにくいという特性があった。

最大のミッションは、「BIツール=タブロー」、あるいは「データビジュアライゼーション=タブロー」という「第一想起」をいかにして日本市場で確立するか、という点にあった。

PRソリューション

当社は、これらの課題に対し、「インフォグラフィック」「データビジュアライゼーション」を発信するコンテンツPRという独自の武器を軸に据えた複合的なソリューションを実行した。

1. 「インフォグラフィック」による価値の可視化
クライアントが選定した理由の一つが、当時当社が国内で先駆けて取り組んでいたインフォグラフィック制作のノウハウであった。タブローのソフトウェアは、膨大なデータを視覚化(ビジュアライゼーション)するツールである。この強みと当社の制作能力を掛け合わせ、「画(え)になる」データコンテンツをメディアに提案する戦略をとった。

2. オウンドメディアコンテンツ発信とメディアリレーション
まず、グローバルで発信されるプレスリリースのローカライズに加え、日本独自のニュースレター施策を展開。総務省などが公開する「オープンデータ」を活用し、「お米とパン、日本でよく食べられている県は?」といった、メディアや生活者が関心を持ちやすい切り口のデータビジュアライゼーションコンテンツを独自に制作・発信した。

こうした地道なコンテンツ発信とメディアリレーションを続ける中、転機が訪れる。当時、新媒体「日経ビッグデータ」の立ち上げを準備していた日経BP社から、「媒体立ち上げの相談に乗ってほしい」と直接連絡が入ったのである。

3. メディアとの「共創」による連載企画
この関係性を発展させ、単なる記事掲載の依頼ではなく、「メディアと連携・協力して、タブローを活用したデータビジュアライゼーションの連載記事を当社が制作・提供する」という座組みを実現。これにより、日経BPの主要メディアで、タブローの技術力と活用事例を継続的に発信することが可能となった。

4. コミュニティ形成施策「データビズコンテスト」
並行して、日本国内のタブローユーザーやデータビジュアライゼーションに関心を持つ人々を対象とした「データビズコンテスト」を開催。プレイヤーが育つ土壌を醸成し、コミュニティの熱量を高める施策も実行した。

結果・成果

これらのPR戦略とコンテンツPR施策は、クライアントのビジネス拡大、ひいては当社の事業拡大にも直結する大きな成果を生み出した。

  1. 権威あるメディアでの継続露出による市場創造
    日経BPでの連載や日経新聞、その他IT業界メディアを通じて、「データビジュアライゼーション」の価値と「タブロー」のブランド名が、日本のビジネス層やIT関係者に継続的に広がっていった。
  2. 大手広告代理店などへの導入拡大
    市場での認知と信頼性が高まるにつれ、電通、博報堂、ADK、サイバーエージェントといった大手広告代理店をはじめ、ビッグデータを保有する上場企業がタブローの導入を開始。導入事例が多く生まれ、その事例が記事露出という好循環が生まれた。
  3. 「BIツール(ビッグデータ分析)=Tableau」の第一想起確率
    当時、BIツール(ビッグデータ分析)市場には、マイクロソフトの「Power BI」やGoogleの「Looker Studio(当時:Google Data Studio)」など、IT業界の巨人たちが提供するデータビジュアライゼーションツールもすでに存在していた。
    しかしTableauは、スタートアップの特性を活かし、単一製品にリソースを集中させたマーケティング投資を展開。これにより、他社を圧倒するメディア露出と市場展開を実現した。こうした戦略に加え、他ツールを凌駕する優れたUX(ユーザー体験)や機能も相まって、「BIツール=タブロー」という強力な第一想起の確立に成功し、市場そのものを切り開く中心的な役割を果たすに至った。

以上、スタートアップでも巨人を相手に戦い、大きな第一想起を獲得できた当社としても貴重な事例である。ぜひ参照いたただき、自社に当てはめて考えていただきたい。

業界を熟知したPR戦略家が「メディア視点」で 刺さる情報発信を設計 PR・広報戦略コンサルティング
サービス概要資料

著者

株式会社カーツメディアワークス
代表取締役

村上 崇

実績

  • 大手グローバルIT企業のマーケティング戦略
  • 国内上場企業の広報部立ち上げ支援
  • 最大手美容外科の広報戦略
    等多数
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